メディアによって「首相」と「総理」の使われ方が異なる背景には、各報道機関が設けている明確な運用基準があります。
新聞や通信社(朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、共同通信など)の紙面では、「首相」という表記が圧倒的に多く見られます。これには紙面レイアウトの都合上、限られた見出しスペースの中で文字数をできる限り圧縮したいという実務的な理由があります。「〇〇総理大臣」と書くと6文字を消費しますが、「〇〇首相」であれば4文字で収まり、視認性も高まります。
対照的に、NHKをはじめとするテレビやラジオの放送業界では、「総理」や「総理大臣」という呼称を積極的に採用しています。
放送で「しゅしょう」と発音した場合、音声だけでは「首長(自治体の長)」「受傷」「酒乱」といった同音異義語や類音語と聞き違えるリスクが排除できません。視聴者が耳だけで正確に内容を把握できるよう、聞き取りやすく誤解の生じにくい「総理」「総理大臣」という言葉を基本ルールとして選択しています。