なぜ彼のイラストはこれほどまでに中毒性が高いのか。その秘密は、絶妙な歪みと完璧に計算された構図のバランスにある。
作品の核となるのは、コントラストの効いたカラーリングとコミックタッチの粗い輪郭線だ。アメリカンコミックや日本の昭和レトロな漫画表現の文脈を感じさせつつも、その配置やテーマ設定は極めて現代的。コーヒーカップに足が生えていたり、人間の顔が不自然に引き伸ばされていたりと、ナンセンスなモチーフが当然のような顔をして画面に収まっている。
過度に説明的にならず、見る者の想像力に委ねる余白を残すこと。これが、沖真秀のイラストが持つ独特の間(ま)を生み出している。