事件発生から数時間、大手メディアの速報は極端に断片的な情報しか伝えなかった。NHKニュースのテロップが淡々と現場の混乱を流す一方で、核心に迫る容疑者の属性や使用された銃器の種類については奇妙な沈黙が保たれていた。ここには捜査上の機密保持と、模倣犯の誘発を防ぐための厳格な報道協定に近い自主規制が働いている。
だが、情報の空白は時に憶測を呼び、SNS上には真偽不明のデマが氾濫する。真実を伝えるべき報道機関と、現場で血の通った真実を掘り起こすジャーナリズムのあり方がいま厳しく問われている。当局の公式発表だけに頼らず、現場の証言や物証を丹念に積み重ねることでしか、報道規制の厚い壁の奥にある「本当の動機」には辿り着けない。