M4 iPad Proにおける最大の変化点とも呼べるのが、ディスプレイ技術の全面刷新です。従来の12.9インチモデルが採用していたミニLED(Liquid Retina XDR)から、2枚のOLEDパネルを重ね合わせた世界初の「タンデムOLED(Ultra Retina XDRディスプレイ)」へと移行しました。
従来のミニLEDディスプレイでは、暗い背景に白い文字やオブジェクトが表示される際に光が漏れる「ブルーム現象(ハロー現象)」が発生することがありました。しかし有機ELはピクセル単位で完全消灯できるため、コントラスト比は2,000,000:1に達し、完全な「漆黒」を表現可能です。黒の沈み込みが深くなったことで、映画鑑賞時の没入感やHDR写真の暗部ディテールが別次元の鮮明さへと引き上げられました。
加えて、輝度性能もフルスクリーン全体で1000ニト、HDRピーク輝度で1600ニトを維持しており、屋外の強い日差しの下でも視認性が損なわれません。上位ストレージモデル(1TB / 2TB)では、周囲の映り込みをナノレベルで拡散する「Nano-textureガラス」のオプションも用意されており、プロのスタジオ環境や野外ロケでの作業精度を極限まで高めています。
このタンデムOLEDの恩恵は画質だけにとどまりません。パネル構造のスリム化により、11インチモデルは厚さ5.3mm、13インチモデルに至ってはわずか5.1mmというApple史上最薄の筐体を実現しました。13インチモデルの重量は約579g(Wi-Fiモデル)まで削ぎ落とされ、旧世代の12.9インチ(約682g)でネックとなっていた「重くて持ち歩きにくい」という弱点が見事に解消されています。