セアカゴケグモが危険視される最大の理由は、その毒液に含まれる神経毒アルファラトロトキシンの存在です。この成分は神経筋接合部や自律神経系に作用し、神経伝達物質(アセチルコリンやカテコールアミンなど)を過剰に放出させる強力な毒性を持っています。
アルファラトロトキシンが体内に侵入すると、神経細胞の膜に小孔を形成し、カルシウムイオンの大量流入を引き起こします。これにより、神経伝達が暴走状態に陥り、刺された部位だけでなく全身に激しい筋肉の痙攣や収縮痛、異常発汗、血圧上昇などの自律神経症状を引き起こします。
ただし、危険な毒を持つのは成熟したメスのみであり、体長約3ミリ前後のオスは毒器が未発達で人を咬む力すらほとんどありません。また、メスであっても毒を注入せずに威嚇目的で浅く咬む「ドライバイト(空噛み)」のケースもあり、噛まれた全員が激しい中毒症状に苦しむわけではない点も特徴です。