結論から明示すると、イモリは「両生類(有尾目イモリ科)」に分類されます。日本本土で最も身近な種であるアカハライモリ(学名:Cynops pyrrhogaster)をはじめ、世界に分布するすべてのイモリは、カエルやサンショウウオと同じ両生類のグループです。
一方で、しばしば混同されるヤモリやトカゲは「爬虫類(有鱗目)」であり、生物学的な綱(こう)のレベルで明確に区別されます。両者を分ける決定的な要素は、以下の3つの生理学的・進化学的特徴にあります。
- 皮膚の構造と呼吸方法の違い:爬虫類のヤモリやトカゲの体表は乾燥を防ぐ硬い「ウロコ(鱗)」で覆われ、呼吸は「肺呼吸」のみで行われます。対して両生類のイモリにはウロコが一切なく、湿った粘膜質の皮膚を持ち、肺呼吸・エラ呼吸(幼生期)に加えて「皮膚呼吸」で全身から酸素を取り込みます。
- 卵の構造と産卵場所(羊膜の有無):爬虫類は乾燥に強い殻を持つ卵を陸上に産む「羊膜類」です。一方、両生類であるイモリは殻のないゼリー状の膜に包まれた卵を「水草や水中の物陰」に産み落とします。水がなければ卵が乾燥して死滅してしまう点が両生類たる最大の証拠です。
- 変態のプロセス:イモリは卵から孵化すると、外鰓(フサフサのエラ)を持つ水生幼生として過ごし、成長に伴ってエラを消失させて肺呼吸を行う成体へと「変態」します。ヤモリやトカゲにはこうした劇的な変態はなく、親と同じミニチュアの姿で孵化します。
古くから日本に伝わる漢字の成り立ちを見ても、その生態は見事に言い表されています。水場である井戸を守る存在として名付けられたのが「井守(イモリ)」であり、民家の壁や窓辺に張り付いて害虫を食べる陸の守り神として名付けられたのが「家守(ヤモリ)」です。名前の由来自体が、水棲の両生類と陸棲の爬虫類という住み分けを雄弁に物語っています。