井戸水の滅菌に一般的に使用される薬品が次亜塩素酸ナトリウムです。市販の塩素系漂白剤とは異なり、飲料水用として精製された高品位の薬品を用いるのが大前提となります。しかし、実際の現場では「どのくらいの量を注入すればよいのか」という希釈と吐出量の決定に苦慮するケースが後を絶ちません。
基本的な注入量の決定は、原水の水質(有機物量、鉄・マンガン濃度、pH値など)と揚水量によって決まります。目標とする残留塩素濃度(通常0.1〜0.4mg/L)を達成するためには、原水の塩素要求量を正確に把握することが欠かせません。不快な「カルキ臭」が発生する主因は、実は塩素が足りず、水中のアンモニア性窒素などと中途半端に結合して生じる結合残留塩素(クロラミン)である場合が多いのです。つまり、においを消そうとして塩素を減らすと、かえって不快な臭気が強まるという逆転現象が起きます。適切な濃度の次亜塩素酸ナトリウムを均一に注入・反応させることが、臭気を抑えつつ安全性を高める現場の鉄則です。