エプスタイン事件を一言で表せば、「莫大な資産と人脈を持つ富豪が、長年にわたって未成年を含む少女たちを組織的に搾取し、政財界の有力者たちを巻き込んで司法の追及を逃れ続けた前代未聞の性犯罪事件」です。
問題の発端は2005年に遡ります。米フロリダ州パームビーチの邸宅で未成年の少女に対する性的虐待の疑いが浮上し、警察の捜査により数十人規模の被害者が存在することが判明しました。しかし、2008年に結ばれた司法取引は異例極まる寛大な内容でした。連邦レベルでの重罪起訴が見送られ、州法違反の買春罪などを認める代わりに、実質13カ月間の週6日日中外出が許可される「労働仮釈放」という特権的待遇で収監を終えたのです。
この不当な司法取引の背景には、エプスタイン氏が抱えていた超大物顧客たちの存在や政治的圧力が噂され、世論の強い怒りを買いました。潮目が大きく変わったのは2019年7月。ニューヨーク連邦地検が性的人身売買の容疑でエプスタイン氏を再逮捕したことで、事件は再び世界的なトップニュースへと押し戻されることになりました。