玄関先で出かける人の背中に火花を飛ばす行為の最大の目的は、「空間と身体の浄化」および「無病息災の祈願」です。古来、火は神聖なものであり、不浄や魔物を焼き尽くす最強の浄化力を持つと信じられてきました。
人間は一歩外に出れば、予期せぬ事故や災難、病気などの「魔」にさらされます。そこで、外出直前に火花を浴びせることで、本人の身に憑いている邪気や穢れ(けがれ)を断ち切り、無防備になりがちな背後を清めて結界を張るという意味が込められています。
「いってらっしゃい、今日も無事で」という言葉に、視覚的・聴覚的な厄除けの儀礼を重ね合わせたものが、この切り火による見送りなのです。