「吸えない」と「吐けない」という相反するような物理的異常がなぜ同時に起きるのでしょうか。呼吸器臨床の現場で最も警戒されるのが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と間質性肺炎の合併です。
近年、呼吸器内科学会等で注目されている病態概念にCPFE(Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema:気腫合併肺線維症)があります。これは、肺の上部に気腫性変化(COPDにより肺胞が壊れて空気が溜まる病変)が生じ、肺の下部に線維化(間質性肺炎により肺が硬く縮む病変)が同時に進行する重篤な疾患です。
CPFEの最大の原因は長期間にわたる「重度の喫煙歴」です。タバコの有害物質が肺全体に慢性的な炎症を引き起こし、場所によって「肺組織を破壊して気道を塞ぐ反応」と「傷を修復しようとして肺をカチカチに硬化させる反応」を同時に引き起こしてしまいます。
また、他の原因としては以下のような複合パターンが挙げられます。
- COPD患者の体型変化や胸郭障害:もともとCOPDを患っている人が著しい肥満になり、内臓脂肪が横隔膜を押し上げて肺活量が低下した場合。
- 陳旧性肺結核や肺切除後:過去の結核痕や手術で物理的に肺容量が減っている(拘束性)ところに、加齢や喫煙に伴う気管支炎(閉塞性)が上乗せされた場合。
- 塵肺(じんはい)・石綿肺:粉塵やアスベストを長期吸入した環境要因による混合障害。