『ハクション大魔王』がフジテレビ系列で放送開始されたのは1969年のこと。手がけたのは、創業者・吉田竜夫を中心とするタツノコプロだ。総監督の笹川ひろしをはじめ、当時の才能あふれるクリエイター陣は、海外アニメの洗練されたギャグセンスと下町のあたたかなコメディ要素を見事に融合させた。
当時のテレビアニメ界において、ドジな魔王と小学生のカンちゃんが織りなすドタバタ劇は、まさに革新的なギャグアニメだった。そして作品の熱量を決定づけたのが、魔王役を演じた名声優・大平透の存在だ。
「ハハハンと言って出でよー!」という重厚かつユーモラスな声の表現は、大平透にしか出せない唯一無二の魅力だった。絵描き歌の中に息づく朗らかな温かみも、彼の名演があったからこそ語り継がれている。