現在でこそ「恵文社=本と生活雑貨とギャラリーが美しく調和したセレクトショップ」というパブリックイメージが定着していますが、これは最初から全社的に統一されていたビジネスモデルではありません。
かつて一乗寺店で店長を務めた堀部篤史氏らスタッフの創意工夫によって、1990年代後半から2000年代にかけて「棚に文脈を持たせる独自のキュレーション」「本と関連する生活道具・雑貨の併売」「ギャラリー展示」という独自のスタイルが徐々に確立されていきました。
つまり、「セレクトショップとしての恵文社」は一乗寺店という単独の現場で独自に進化・結実した形態であり、西大路店をはじめとする他の支店群に同一のフォーマットが水平展開されていたわけではありませんでした。この歴史的経緯を知らないと、「西大路店も一乗寺のような空間だったのではないか」という誤認が生じることになります。