医師の働き方改革が施行されて以降、現場に大きな変革をもたらすと期待されていた。しかし、残業時間の上限規制が導入されたことで、かえって持ち帰り仕事や書類作成の未払い残業が増加したと指摘する声も根強い。表向きの勤務時間が短縮された分、自宅でパソコンに向かう夫の背中を見つめる機会が増えたという現実に、多くのパートナーが頭を抱えている。
制度が変わっても、命を扱う現場の切迫感が消えるわけではない。日本医師会によるガイドライン策定や意識改革の試みも、末端の現場まで浸透するには時間を要する。医療業界の構造改革が過渡期を迎えるなか、家庭内で夫の精神的ケアを担う「医師の妻」たちへの負担は、形を変えてむしろ巧妙に不可視化されているのが実情だ。