『ドラえもん』におけるひみつ道具の多くは、のび太の「楽をしたい」「眠りたい」「怒られたくない」という極めて人間的で怠惰な欲求から引き出される。一方で『魔王城でおやすみ』のスヤリス姫が繰り出す数々の快眠アクションもまた、「ただ静かに眠りたい」という一点のみに特化している。この両者に共通するのは、目的達成のための異常なまでのクリエイティビティだ。
スヤリス姫は魔王城の貴重なシーツを切り裂き、魔物の羽をむしって枕を作る。これはドラえもんが「ハツメイカー」や「どこでもだれでもかんたんDIYツール」を使って即席で道具を作り出すプロセスと驚くほど重なる。目的のためなら倫理観を一時的に脇に置くその姿勢は、どこかブラックユーモアに満ちており、現代の視聴者に強いカタルシスを与えている。