スロープを下るにつれて、地上の喧騒が消えていく。聞こえてくるのは、ダイナミックに流れ落ちる滝の音だけだ。安藤忠雄の設計は、訪れる者を強制的に日常から切り離す。コンクリートの壁が切り取る空の青と、打ち放しのグレーのコントラストが美しい。
この施設は、一般的な「ビルの中の美術館」とは真逆の構造を持つ。地下へと潜りながら、吹き抜けの空間に配置された巨大な絵画を見上げるのだ。視線が上下左右に揺さぶられることで、鑑賞者は静かに作品と対峙することになる。建築自体がひとつの巨大な彫刻であり、その中に名画が埋め込まれているかのような錯覚を覚えるだろう。