この強烈なパワーワードの背景を探ると、日本の漫画・アニメ史に燦然と輝く名作たちの遺伝子が見えてくる。古典的なジャンケンというモチーフを命懸けのサスペンスへと昇華させた筆頭といえば、福本伸行氏の伝説的大作『賭博黙示録カイジ』だ。エスポワール号で繰り広げられた『限定じゃんけん』は、情報戦、カード消費の確率計算、そして裏切りという要素を組み込み、デスゲームというジャンルの金字塔を打ち立てた。
一方で、頭脳戦の緊張感という観点では冨樫義博氏の手掛ける『HUNTER×HUNTER』(集英社)の影響も色濃い。ジャンプ黄金期を支えた同作の能力バトルや心理戦の見せ方は、現代のクリエイターたちに多大なインスピレーションを与え続けている。出版業界において長年育まれてきた「誰もが知るシンプルルールに異常な極限状態と命の重みを掛け合わせる」という手法が、本作『じゃんけん 死ねぇ』の土台に深く息づいているのだ。