これまで『孤独のグルメ』をはじめ数々の名作を世に送り出してきたテレビ東京だが、今回の試みはこれまでの成功体験に安住しない挑戦に満ちている。従来のグルメドラマといえば、美味しそうな料理を愛でる嗜好性の高さが中心であった。しかし本作においては、料理はあくまで人の心を開く鍵に過ぎない。
暖簾の奥で繰り広げられるのは、挫折した起業家、愛を失った老婦人、夢を諦めた若者たちの泥臭い葛藤だ。上質なヒューマンドラマとして昇華された脚本の力強さが、従来の深夜ドラマ層にとどまらない幅広い世代の共感を呼んでいる。テレビ東京が培ってきたノウハウと、重厚な人間模様の融合が、ジャンルの壁を打ち破ったのだ。