多くの人々に親しまれたホテル山谷園がなぜ閉館に至ったのか。その経緯には、時代背景と観光ビジネス構造の変化が深く関係しています。平成中期以降、団体旅行や大規模な宴会需要が縮小し、個人旅行や近代的で洗練されたシティホテル、デザイナーズ旅館へと人々の嗜好がシフトしていきました。
さらに追い討ちをかけたのが、建物の老朽化と大規模改修にかかる莫大なコストです。耐震基準への適合やバリアフリー対応など、現代の宿泊施設として求められる設備投資の負担が重くのしかかりました。後継者問題や観光需要の変化が重なった結果、惜しまれつつも営業終了という苦渋の決断が下されることになりました。