作品の骨格を成すのは、緑谷出久(デク)と爆豪勝己(かっちゃん)という二人の相反する歩みだ。「無個性」の落ちこぼれから最高のヒーローを目指したデクと、生まれながらの天才として挫折を知らなかった爆豪。二人の関係性は、単なる幼馴染やライバルという言葉では括れない。
堀越耕平が初期から綿密に張り巡らせていた伏線の中でも、爆豪の葛藤とデクへの罪悪感の昇華は圧巻だった。幼少期の「川で手を差し伸べられた瞬間」から始まった爆豪の劣等感は、オールマイトの引退を経て、自らの弱さを受け入れることで「救けて勝つ」ヒーロー像へと結実する。一方、デクがOFAの真の力を解放していくプロセスには、過去の継承者たちの記憶と精神が複雑にリンクしていた。
ファンの間で今なお語り継がれるのは、爆豪が語った「ノートの件」や、デクの父親に関する謎、そして二人が土壇場で示した互いへの絶対的な信頼だ。言葉ではなく拳と生き様で語り合った二人の軌跡は、王道少年漫画史に残る名関係性として評価されている。