夢野幻太郎という複雑怪奇な人物に命を吹き込んだのは、実力派声優の白井悠介だ。飄々とした日常の会話劇から、魂を削り出すような緊迫したバトルラップまで、声のトーンを巧みに操るその演技力には圧倒される。
白井は過去のインタビューやイベントで、幻太郎を演じる際の独特なアプローチについて明かしている。文豪らしい古風で格調高い口調を崩さずに、どのようにして現代的なラップのライミングに乗せるか。その匙加減には並々ならぬ試行錯誤があったという。特に「嘘ですよ」と吐き捨てる際のリラックスしたニュアンスと、バトルの土壇場で剥き出しにする狂気的な声圧ギャップは、白井の緻密な計算と憑依的な演技の賜物だ。
スタジオ収録での裏話として、共演者との掛け合いの中で生まれた臨場感が、キャラクターのニュアンスをより深めたとも語られている。白井自身が持つコミカルな親しみやすさと、役に込められた底知れぬ凄みのコントラストが、幻太郎の魅力をより多層的なものへ昇華させている。