加藤一二三九段という存在がこれほどまでに広く愛されているのは、天才棋士としての圧倒的な実力と、誰からも親しまれる天真爛漫な人柄が見事に融合していたからです。
引退直前の2016年12月、史上最年少棋士としてデビューしたばかりの藤井聡太四段との公式戦対局は、「最年長棋士(当時76歳)対 最年少棋士(当時14歳)」という62歳差の世紀の対局として日本中の注目を集めました。新時代の幕開けを象徴するこの一局で敗れた加藤九段は、対戦相手の才能を惜しみなく称え、盤上のバトンを若き天才へと託しました。
その後、バラエティ番組で見せた独特のリアクション、猫好きとしての一面、早口でユーモアあふれるトークは老若男女の心を掴み、将棋を指さない層にまで将棋界の魅力を届ける架け橋となりました。ひふみんが築いた親しみやすい棋士像は、現在の将棋ブームの確かな礎となっています。