夜間に五合目を出発し、山小屋に宿泊することなく一気に山頂を目指す「弾丸登山」。これが制度として厳格に規制されるに至った背景には、山岳医療関係者や救助隊の悲痛な叫びがありました。
現場の医師や警察関係者の報告によると、夜間の強行登山者は十分な高度順応の時間を取れないため、急性高山病の発症率が宿泊者の約3倍に跳ね上がります。さらに、夜間の急激な気温低下によって低体温症に陥り、八合目付近の登山道で身動きが取れなくなるケースが頻発していました。救助要請の過度な集中は、本当に重篤な事故への初動対応を遅らせるという深刻な二次被害をもたらしていたのです。
山頂でのご来光時間の目安は、7月上旬で午前4時30分頃、8月下旬で午前5時10分頃です。この神秘的な瞬間を迎えるためには、七合目または八合目の山小屋で数時間の仮眠と高度順応を行い、深夜未明にヘッドライトを点灯して山頂へアタックする行程が唯一の安全なアプローチです。