それまでの日本の刑事・探偵ドラマといえば、寡黙でシリアス、どこか影を背負った重厚な主人公像が王道でした。しかし、松田優作が『探偵物語』で提示した工藤俊作は、その既成概念を鮮やかに打ち破りました。
普段はずぼらで美女に弱く、どこか抜けていてコミカル。しかし、いざ事件の核心に迫れば、長い手足を活かした鋭利なアクションと鋭い洞察力で巨悪に立ち向かう――。この「陽気さと狂気」「軽妙さとダンディズム」の完璧なバランスこそが、工藤ちゃんの最大の魅力です。
SHŌGUNによる名オープニングテーマ「Bad City」の疾走感あふれるホーンセクションとともに始まる物語は、当時の若者カルチャーを熱狂させました。また、マグカップで飲むコーヒーにスプーン山盛りの砂糖を何杯も投入するお決まりのルーティンなど、松田優作本人のアイデアが随所に散りばめられ、唯一無二の人間味を生み出しています。