横山裕の幼少期は、安らぎとは程遠い環境の中で始まった。3歳の頃に実の父と母が離婚し、その後に母親が再婚。しかし、新しく父親となった継父との関係は極めて険しいものだった。連れ子であった横山に対し、継父の態度は冷淡を極め、時には理不尽な暴力を振るわれることも日常茶飯事だったという。幼心に感じた恐怖と孤立感は、計り知れない。
生活環境の変化も激しかった。家庭内の摩擦を避けるため、一時期は祖父母の元へ引き取られ、さらには児童養護施設で生活を送る経験も余儀なくされた。自分だけが家族の中で浮いた存在なのではないかという葛藤。しかし、そんな苛烈な生活の中でも、幼い彼は決して自分を見失うことはなかった。環境の残酷さを恨むのではなく、「自分が強くなるしかない」という直感的な生存本能が、彼の中で静かに芽生えていったのだ。