メガホンをとったのは、国際的な評価も高い巨匠・黒沢清監督だ。世界の映画祭を席巻してきた同氏の真骨頂とも言える「目に見えない恐怖」の視覚化が、本作では極限まで洗練されている。日本映画監督協会の関係者からも「映像表現の到達点」「空間の切り取り方が異次元」と感嘆の声が上がっており、同業者たちにも大きな衝撃を与えている。
一押しの見どころは、画面の端や背景のボケの中に何かが「存在しているかもしれない」という、不穏な空気の醸成だ。CGIに頼り切るのではなく、照明と構図、そして演者の生々しい呼吸音によって生み出される緊張感。数ある劇場公開作品の中でも、これほどまでにスクリーンに引き込まれる体験は極めて稀と言えるだろう。