『黒魔女さんが通る!!』の大きな読みどころが、小学生離れした(あるいは小学生らしい)複雑怪奇な恋愛模様と、青い鳥文庫公式設定に散りばめられたダークな裏設定です。
■ 複雑に交錯する「恋の矢印」
本作の恋愛関係は、実家の宗教(寺・神社・教会)を背負った男子3人組と女子たちの間で複雑に交差しています。
- 東海寺阿修羅 ➡ チョコ:全力の片思い。しかしチョコからは「うるさい」「迷惑」と一蹴されがち。
- 春野百合 ➡ 東海寺阿修羅:猛烈なアタックを仕掛けるが、東海寺がチョコしか見ていないため不憫な扱いを受ける。
- 麻倉良太郎 ↔ チョコ:喧嘩友達のような距離感。麻倉は素直になれず皮肉を言いますが、ピンチのチョコを真っ先に助けに入るなど、読者の間でも「本命候補」として絶大な人気を誇ります。
- 紫苑メグ ➡ 三条ショウ:メグからの熱烈な求愛に対し、ショウはタジタジになりながらも優しく対応。
■ 大形京が抱える重厚な裏設定
物語中盤から登場する大形京は、児童文学の枠を超えたハードな背景を持っています。彼は魔界の最高幹部である悪魔・グラウコスと契約を結んでおり、人間界を裏から揺るがす役割を担っていました。しかし、チョコの真っ直ぐな心と魔女としての誇りに触れることで、次第に人間らしい感情とチョコへの特別な執着・敬意を抱くようになります。「敵か味方か」という危うい立ち位置と、チョコとの間に芽生える唯一無二の絆は、多くのファンを熱狂させました。