激戦の裏側で、二人はどのような思いを抱えていたのか。後日談として明かされた舞台裏のストーリーは、テレビ画面越しでは見えない過酷さを物語る。敗者復活戦から勝ち上がり、休む間もなく本戦のセット裏へ移動したハライチ。出番直前、舞台裏の静寂の中で岩井と澤部が交わしたのは、余計な言葉ではなく、長年連れ添った幼馴染だからこその視線だったという。
澤部は後に「心臓が破れそうなほどの緊張と、同時にこれまでにないゾーンに入った感覚があった」と述懐している。岩井もまた「勝ち負け以上に、ハライチとしての最後の漫才をやりきることだけを考えていた」と語る。極限状態の舞台裏で吐露された本音は、彼らが賞レースという魔物に真摯に向き合ってきた証しだ。