私たちの日常を取り巻く環境の変化も、記憶の精度に大きな影響を与えている。日本心理学会が発表する様々な知見やシンポジウムでも、デジタルデバイスによる情報過重が人間の認知リソースをいかに消耗させるかが議論されてきた。
仕事の合間にスマホをスクロールし、夜はNetflixで無限に供給される映像コンテンツを貪る。絶え間ないブルーライトと視覚情報の濁流は、人間の脳を慢性的な疲労状態に陥らせる。本来なら大切な人の面影をじっくり温めるはずだった脳のワーキングメモリは、日々アップデートされる無数の情報によって上書きされてしまうのだ。