松方家の歴史を紐解く上で欠かせないのが、松方弘樹の実父であり、殺陣の神様と称された伝説の剣戟スター・近衛十四郎の存在である。父から子へ、そして孫へ。この家系には、まさに日本芸能界の黄金期を築き上げた本物の血脈が流れている。
近衛十四郎の研ぎ澄まされた剣さばきと圧倒的な存在感は、若き日の松方弘樹へとそのまま継承された。東映に入社した松方は、父譲りの天賦の才と徹底的な鍛錬によって、瞬く間にトップスターへの階段を駆け上がっていく。太秦の撮影所で培われたその骨太な役者魂は、形式だけの演技指導では決して身につかない、一族に伝わる天性の嗅覚だった。
この重厚な遺伝子は、仁科克基や目黒大樹にも確実に受け継がれている。立ち振る舞いの端々に見える華や、カメラの前に立った瞬間に放たれる独特の色気。それは、近衛十四郎から始まった東映京都撮影所のDNAが、世代を超えて息づいている証左に他ならない。