鬼才パク・チャヌク監督が世界に提示したのは、従来のバイオレンス作品とは一線を画す美学だった。色彩設計から構図の隅々に至るまで計算し尽くされた視覚効果と、一瞬も油断できないサスペンス・スリラーの構造を組み合わせることで、映画の表現領域を劇的に拡張してみせた。
ただ凄惨な暴力を描くのではない。登場人物が抱える罪悪感や運命の残酷さを鮮烈な映像美へと昇華させる手法は、まさにネオ・ノワールの新たな金字塔と呼ばれ、全世界の監督たちに多大な影響を与えた。暗闇の中に差し込む光と血のコントラストは、観客の脳裏に焼き付いて離れない。