豊川の食を語る上で、商売繁盛の神様として全国に知られる妙厳寺(豊川稲荷)とその門前町の存在は外せない。石畳の通りには昔ながらの佇まいを残す老舗が並び、香ばしい出汁や醤油の香りが漂う。ここでは、長年受け継がれてきた日本料理・郷土料理の粋を心ゆくまで堪能できる。
伝統的な会席料理を提供する老舗割烹では、三河湾で水揚げされた新鮮な魚介や、伝統野菜を用いた贅沢な御膳が昼の看板メニューだ。職人が丁寧に引いた一番出汁の澄んだ味わいは、一口含むだけで旅の疲れをほどいてくれる。
一方で、伝統の味を守りつつ現代的なアレンジを加えた新世代の和食ランチも支持を集めている。彩り豊かな小鉢を並べた和モダンな御膳や、郷土の味を再解釈した創作丼など、歴史ある門前町に新たな風を吹き込む試みが目立つ。歴史の重みとモダンな感性が交差するこの場所でしか味わえない食体験が、ここには確かにある。