食の分野における革新も見逃せない。特に注目されているのが、獲れすぎた魚介や規格外の農産物を一切無駄にしない「フードロスゼロ」の取り組みだ。形が歪だったり傷があったりして市場に出せない果物は、併設された加工ラボで高価格帯のクラフトジュースやジャム、スイーツへと生まれ変わる。
「見た目が悪いだけで味は一品。捨てるなんてあり得ない」と息巻くのは、施設内のシェフと連携してメニュー開発を担当する若手料理人だ。港で売れ残った未利用魚を活用したフィッシュバーガーや濃厚な魚介スープは、今や訪れた者が必ず食べるべき名物メニューとしてSNSで爆発的な人気を博している。
食材の命を無駄なく使い切る姿勢は、SDGsという堅苦しい言葉を超えて、訪れる消費者の共感を強く呼んでいる。美味しいものを食べるという日常の行為が、そのまま地域の持続可能性を支えるというシンプルな心地よさが、リピーターの固い支持を獲得している背景にある。