権能の大きさに比例して、国民の関心が集まるのが国務大臣給与年収の実態です。大臣の給与は「特別職の職員の給与に関する法律」によって規定されており、基本給に相当する俸給月額は月額146万6,000円と定められています。ここに地域手当や期末手当(ボーナス)が加算され、法令上の規定通りの満額ベースでは年収約2,900万円から3,000万円前後に達します。
ただし、財政再建や身を切る改革の姿勢を示す政治的慣例として、2000年代以降は申し合わせによる「給与の自主返納」が継続して行われてきました。総理大臣が約30%、国務大臣が約20%を国庫へ返納する措置が取られており、実際の手取り・総支給ベースでは実額で年間約2,400万〜2,500万円前後に着地するのが通例です。なお、大半の大臣は現職の衆議院議員または参議院議員を兼ねているため、二重取りを防ぐ調整規定により「国務大臣としての俸給」と「国会議員としての歳費」の差額分のみが上乗せ支給される構造になっています。
金銭面以上の特権として特筆すべきが、司法に対する強力な防壁です。国会議員には国会開会中の不逮捕特権(憲法第50条)がありますが、国務大臣にはさらに強固な国務大臣不逮捕特権の経緯と法的盾が存在します。日本国憲法第75条は「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない」と規定しています。この条文は戦前、軍部や司法警察が閣僚を恣意的に拘束・起訴して内閣を倒壊させた歴史的教訓から導入されたものであり、行政の中枢が不当な司法介入によって機能不全に陥る事態を防ぐための制度的防壁です。総理大臣の同意がない限り、現行犯逮捕などの例外を除いて検察庁が大臣を起訴することは事実上不可能とされています。