「議会制民主主義の発祥国であるイギリスでも野次は日常茶飯事だ」という弁明が、野次を正当化する議員から聞かれます。しかし、英国下院(ハウス・オブ・コモンズ)の文化と日本の現状には、根本的な隔たりがあります。
イギリス議会におけるヤジ(ヘックリング)は、「機知に富んだウィット(ユーモア)」と鋭い論理的矛盾の指摘が基本です。相手を笑わせながら論破する高度な言語センスが競われ、単なる下品な罵倒や人格否定は議長(スピーカー)によって即座に制止されます。さらに、「嘘つき」「偽善者」といった議会侮辱的な単語(Unparliamentary language)の使用は厳しく禁止されており、違反者は即座に退場処分を受けます。
対する日本の国会で見られるのは、政策論争とは無関係な「うるさいだけの騒音」や「感情的な怒号」が大半を占めています。ウィットのかけらもない単純な妨害行為を伝統的議会文化と混同している点に、有権者が強い嫌悪感を抱く根本的な原因があります。