昭和から令和に至るまで親しまれる「いらっしゃーい」ですが、その原点は1960年代後半、関西の若者文化を席巻したMBSラジオの名物番組『MBSヤングタウン(通称:ヤンタン)』に遡ります。
当時、若手落語家として圧倒的な人気を誇っていた桂三枝(現・六代 桂文枝)は、生放送のスタジオに遊びにやってくるリスナーや学生たちに対し、マイク越しに「いらっしゃーい!」と陽気かつ甲高い声で歓迎の言葉を投げかけていました。このフレーズがスタジオ内の若者に爆発的なウケを見せ、リスナーの間で合言葉のように広まったことが最初のきっかけです。
その後、1971年1月に朝日放送(ABCテレビ)系列でスタートした視聴者参加型トーク番組『新婚さんいらっしゃい!』の司会に抜擢された際、三枝はこのラジオ発祥のフレーズを満を持してオープニングに導入しました。ゲストの新婚夫婦を迎え入れる挨拶として披露したところ、瞬く間に全国区のお茶の間へ浸透。「桂三枝の代名詞的ギャグ」として不動の地位を築くことになります。
また、体を横に傾けながら両手を広げる独特の「いらっしゃーいポーズ」にも明確な理由が存在します。三枝本人が後年の回顧録や特番インタビューで語ったところによると、「テレビ画面の前の視聴者とスタジオに来てくれたゲストの双方を、両腕で丸ごと抱きしめて包み込むようなイメージ」を視覚化するために生まれたフォームでした。相手に警戒心を抱かせず、一瞬で距離を縮めるオープンマインドの身体表現こそが、あのポーズの本質です。
宴会や余興で重宝される「ものまねのコツ」としては、次の3点が挙げられます。
- 声のピッチ:地声よりもワントーン高く、裏声に近い抜けの良いファルセット気味の発声を行う。
- 脱力と角度:首を右(または左)へかしげ、両肩の力を抜いて肘を軽く曲げながら両手のひらを上に向ける。
- 目線の配り方:満面の笑みを浮かべつつ、眉を少し下げて相手の目を覗き込むように親愛の情を表現する。