破談直後の宮沢りえを取り巻く環境は過酷を極めた。メディアの容赦ないバッシング、激痩せ報道、そして芸能活動の休止。篠山紀信撮影の写真集『Santa Fe』で社会現象を巻き起こした時代の寵児は、一転してスキャンダルの渦中に放り込まれた。
しかし、彼女はそこで終わらなかった。表現者としての魂を磨き直し、蜷川幸雄や野田秀樹といった演劇界の巨匠の舞台で徹底的に鍛え上げられる。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、傷口を表現の深みへと昇華させ、日本を代表する本格派大女優へと登り詰めた。あの日の悲劇を生き延びた者にしか出せない凄みが、現在の彼女のスクリーン越しに宿っている。