狭霧山で炭治郎を鍛え上げた元水柱・鱗滝左近次。彼は作中で一度もその素顔を明かすことがない。顔を隠し続ける理由は、単なるミステリアスな演出ではない。かつて鬼から「顔が優しすぎて舐められる」と嘲笑された過去に起因するという裏設定が存在する。
威嚇効果を持つ赤天狗の面は、内に秘めた深い情愛を隠すための鎧でもあった。鬼狩りの修業は苛烈を極めるが、鱗滝の根底にあるのは弟子を死なせたくないという悲痛な思いだ。異形な天狗の面の下に隠された「優しすぎる素顔」は、鬼殺隊という過酷な世界で生き抜くために彼自身が選んだ自戒の印なのだ。