すべての始まりは、四百年前のあまりにも残酷な欺瞞にあった。不治の病に侵されていた珠世は、ただ「生き延びて我が子の成長を見届けたい」という切実な願いから、鬼舞辻無惨の甘言に応じた。だが、手に入れた力と引き換えに待っていたのは、自尊心も心も破壊される悪夢だった。狂乱の中で自らの家族を殺めてしまった過去は、彼女の魂に消えることのない深い傷を刻み込んだ。
己が犯した罪の重さに苛まれ、一度は絶望の淵で自我を失いかけた珠世。しかし、継国縁壱との出会いによって無惨の呪縛から脱する好機を得た彼女は、その生涯をかけた復讐へと足を踏み出すこととなる。彼女の憎しみは単なる個人的な怨恨にとどまらない。人間の尊厳を弄ぶ鬼の始祖に対する、静かで絶対的な拒絶であった。