『鬼滅の刃 遊郭編』がアニメ業界の歴史にその名を刻んだ大きな要素は、作画と音響が到達した異常なまでの密度にある。アニメーション制作を手掛けたufotableは、吉原の絢爛豪華な街並みと、その裏で繰り広げられる泥臭い激闘を見事なコントラストで描き切った。特に、妓夫太郎が骨ばった体を軋ませながら繰り出す血鬼術の動線は、おどろおどろしさと美しさが極限で同居する映像美を見せた。
そして、そのキャラクターに血を通わせた声優・逢坂良太の演技力も忘れてはならない。粘り気のある低い声質、歪んだ嘲笑、そして妹を怒鳴りつけながらも庇い続ける土壇場の慟哭。逢坂の魂を削るような怪演によって、妓夫太郎は単なる記号的な悪役を超え、悲劇を背負った一人の生々しい人間としてスクリーン上に結実したのである。