黒死牟が無一郎と対峙した際、最初に口にした言葉は「我が血族の末裔」という戦慄の事実でした。この血統の繋がりこそが、無一郎の類まれなる才能の源泉であり、同時に黒死牟の執着を生む引き金となりました。
戦国時代、始まりの呼吸の剣士・継国縁壱の双子の兄であった継国巌勝(のちの黒死牟)は、鬼になる以前に人間の妻子を残していました。その血脈が数百年かけて細く長く受け継がれ、山奥で木こりを営んでいた時透家に辿り着いたのです。つまり無一郎は、「始まりの呼吸の血を引く天才」でした。
黒死牟は、自らの血を引く少年が14歳にして柱に昇りつめた才能を惜しみ、鬼となって無限の刻を生きるよう勧誘します。しかし、無一郎の瞳に宿っていたのは、先祖に対する畏怖ではなく、鬼に対する純粋な怒りと軽蔑でした。記憶を取り戻した無一郎にとって、自らの命は「仲間を守り、鬼舞辻無惨を倒すため」に捧げるものだったからです。鬼化の誘いを一切迷うことなく突っぱねた無一郎の誇りが、黒死牟のプライドを逆撫でし、苛烈な解体へと繋がっていきました。