劇場版「無限城編」を鑑賞する上で、避けて通れないのが物語の結末と、主要キャラクターたちが辿る過酷な運命です。原作漫画を読了していない読者にとっても、その覚悟を知ることは映像体験の解像度を大きく引き上げます。
無限城の戦いは、これまでの戦いとは根本的に次元が異なります。夜明けまでの限られた時間、入り組んだ無限の空間で繰り広げられるのは、文字通りの「命の削り合い」です。
特筆すべきは、これまで無敵の強さを誇ってきた「柱」たちの命懸けの継承です。蟲柱・胡蝶しのぶは自らの体を毒の塊として上弦の弐・童磨に捧げ、栗花落カナヲと嘴平伊之助へ勝利の道を託します。霞柱・時透無一郎は自らの血筋である上弦の壱・黒死牟との戦いで体を両断されながらも、赫刀を顕現させて仲間を救い、玄弥とともに命を散らします。
そして迎える鬼舞辻無惨との最終決戦では、蛇柱・伊黒小芭内、恋柱・甘露寺蜜璃、岩柱・悲鳴嶼行冥らも致命傷を負いながら炭治郎を支え続けます。無惨を太陽光のもとに引き摺り出すために払われた犠牲はあまりにも大きく、涙なしには見られない壮絶な死亡シーンの数々が、ufotableの圧倒的な演出力によって映像化されることになります。
戦いの果てに描かれる原作の最終回(第205話)では、激闘から100年後の平和な現代東京が舞台となり、命を燃やして戦った鬼殺隊士たちの魂が転生・子孫として穏やかに生きる姿が描かれました。この「命のバトンが繋がれた世界」こそが、作者・吾峠呼世晴氏が描き出した究極の救済であり、三部作の最終章でスクリーンに映し出されるであろう最大の見どころです。