2010年代以降、亀梨和也のキャリアは「王道の主人公」から「人間の暗部や異端を背負う表現者」へと大きく舵を切ります。その過程でネット上やメディア評において、彼の演技力に対する見方は劇的な進化を遂げました。
2016年の『怪盗 山猫』では、神出鬼没で破天荒な天才怪盗をハイテンションに演じ、コメディとシリアスの境界線を軽やかに飛び越えるトリックスターとしての資質を開花させます。広瀬すず、成宮寛貴ら実力派キャスト陣との丁々発止の掛け合いで見せた即興性の高いアプローチは、従来のクールなパブリックイメージを鮮やかに裏切るものでした。
そして彼の俳優人生において大きな転機となったのが、2019年からスタートした『ボイス 110緊急指令室』シリーズです。韓国の大ヒットドラマをリメイクした本作において、妻を殺害された敏腕刑事・樋口彰吾を演じた亀梨は、泥にまみれ、血を流しながら狂気と悲哀を剥き出しにする熱演を展開。現場スタッフが「カットがかかっても息が整わないほどの没入度」と証言した通り、全身全霊のフィジカルな演技と怒りの表現は、ハードボイルド路線の新境地として各方面から絶賛を浴びました。
さらに2026年の『大奥』では、過酷な宿命に翻弄される第10代将軍・徳川家治を演じ、重厚な所作と静けさの中に激情を秘めた「引き算の美学」を体現。小芝風花演じる五十宮倫子との哀切に満ちた関係性は、時代劇ファンからも高い支持を集めました。