「リハビリは痛みに耐えてこそ効果が出る」という発想は、現代のリハビリテーション医学において完全に否定されている。過度な痛みは筋スパズム(異常緊張)を引き起こし、かえって関節の可動性を奪うからだ。
臨床の最前線で患者と向き合う理学療法士たちは、痛みの閾値を超えないミリ単位の運動療法を重視する。代表的なものが、仰向けで膝を立てた状態から骨盤をゆっくり持ち上げるブリッジ運動や、壁を背にして行うミニスクワットだ。これらは股関節に過度な剪断力をかけることなく、歩行推進力の源である大臀筋とハムストリングスを選択的に刺激できる。
重要なのは回数の多さではない。狙った筋肉が確実に収縮しているかを指先で確認し、呼吸を止めずに正確なアライメントを維持する。質の高い数分間のトレーニングが、闇雲な1時間の筋トレを遥かに凌駕する成果を生み出す。