人工股関節置換術の費用は、手術を受ける施設の種類(大学病院・専門病院・一般病院)や使用するインプラントの種類、入院期間によって変動する。健康保険適用後の3割負担で、おおむね40万〜70万円が相場だ。ただし、これはあくまで目安であり、個室料金(差額ベッド代)や食事療養費は別途加算される。
重要なのは高額療養費制度の活用である。年齢や所得区分によって自己負担上限額が設定されており、例えば70歳未満で年収370万〜770万円の区分なら、1カ月の医療費自己負担上限は約8万円+(総医療費−26.7万円)×1%で計算される。つまり、請求書上の自己負担額が50万円でも、実際の窓口負担は10万円前後に圧縮されるケースが多い。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払い自体が上限額で止まる。
病院選びで決定的に重要なのは、施設のブランドではない。日本人工関節学会が認定する専門医が在籍し、年間の人工股関節手術件数が100件以上ある施設かどうかである。諸外国の研究では、年間手術件数の多い術者・施設ほど術後合併症率と再置換率が低いという相関が繰り返し報告されている。大学病院は最新の設備と教育体制が整っている一方、執刀医が必ずしも股関節専門とは限らない。一方、股関節専門の整形外科病院は手術件数が桁違いに多く、手技の熟練度では一日の長がある。どちらが良い悪いではなく、「誰が執刀するのか」を直接確認できる医療機関を選ぶべきだ。