安土桃山時代から江戸時代にかけて、団子は大きな転換期を迎える。侘び茶の大成者である千利休が茶会において素朴な菓子の価値を見出し、華美を削ぎ落とした美意識を提示した。これが後の和菓子観の根底に流れる精神的支柱となる。
江戸の泰平が訪れると、五街道の整備に伴って各地の宿場町に茶屋文化が一気に花開いた。長旅に疲れた旅人たちにとって、手早く糖分と塩分を補給できる串団子は最高の道中食だった。身分を問わず誰もが同じ縁台に腰掛け、熱い茶とともに団子を分け合う。日本の伝統食文化が誇る「素朴さの中の贅沢」は、街道沿いの茶屋の賑わいの中で確かに育まれたのである。