老舗の製品が多くの本物志向の人々を惹きつけてやまない理由は、原材料への徹底したこだわりに他ならない。合成香料が主流となった現代において、同店は伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)といった希少な天然香木を惜しみなく使用する伝統を守り続けている。
香木は、自然が生み出す奇跡の産物だ。何十年、時には何百年もの歳月を経て樹木の中に蓄積された樹脂が、独特の深みのある香りを放つ。職人たちは、その日の気温や湿度、香木の微妙な個性を繊細に見極めながら、長年培われた技術でブレンドを重ねていく。機械的で画一的なアロマとは一線を画す、どこか生命の温もりを感じさせる深遠な香りは、こうした職人の執念から生まれている。