『群青』が世に出たのは、1981年(昭和56年)7月のことです。当時、東宝が社運を賭けて製作した戦記大作映画『連合艦隊』(松林宗恵監督)の主題歌として制作されました。戦艦大和の出撃やレイテ沖海戦、若き特攻隊員たちの過酷な運命を描いた同作において、映画を締めくくる楽曲には並大抵ではない精神性が求められていました。
制作にあたり、谷村新司さんは当時の特攻隊員たちの遺書、手紙、そして遺族の手記を徹底的に読み込んだと伝えられています。後年のインタビューや音楽番組の特番でも明かされている通り、谷村さんは「これは単なるタイアップ曲ではなく、命を捧げた若者たちと、彼らを遺して生きねばならなかった人々の魂を背負う歌だ」という凄絶な覚悟でピアノに向き合いました。
当時、アリスの活動とソロ活動を並行させ、すでに『昴 -すばる-』などでアジア全域に名声を轟かせていた谷村さんにとっても、『群青』の創作は自身の音楽家としての死生観を根底から問われる挑戦でした。雄大でありながらどこか哀切を帯びたオーケストレーションと、静けさの中に激情を秘めたメロディは、映画のラストシーンと見事に融合し、劇場を訪れた多くの観客の涙を絞り出しました。