気難しいゴールドシップが、唯一心を許し、深い絆で結ばれていたのが担当の今浪隆利厩務員でした。百戦錬磨の今浪さんでさえ、毎日の世話では命の危険を感じるほどの暴れっぷりを見せられたといいますが、その裏には言葉を超えた信頼関係が築かれていました。
今浪さんが馬房に入ると、まるで甘える子どものように頭をすり寄せ、時には服をくわえて引っ張るなど、激しい気性を一切見せない穏やかな表情を見せていました。レース前には今浪さんの緊張を察して静かに寄り添い、勝利した際には真っ先に今浪さんを探すような素振りを見せるなど、2人の間に流れる特別な空気感は多くの競馬ファンの涙を誘いました。
引退後も今浪さんが牧場を訪れると、遠くからでも足音や声を聞き分けて駆け寄り、現役時代と変わらぬ穏やかな表情を見せる姿は、彼がいかに人を深く愛していたかを物語っています。