藤田三保子の若い頃を振り返る上で欠かせないのが、1974年に放送されたNHK連続テレビ小説『鳩子の海』です。青森県八戸市出身の彼女は、文学座附属演劇研究所で演技の基礎を徹底的に叩き込まれた後、多数の応募者の中から見事にヒロイン・鳩子役に抜擢されました。
原爆によって記憶を失った少女が、過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生き抜く姿を描いた本作は、最高視聴率53.3%を記録する社会現象となりました。愛らしくも芯の強い大人の鳩子を演じきった藤田三保子は、新人離れした圧倒的な演技力でお茶の間の涙を誘い、一躍「国民的清純派女優」としての名声を獲得したのです。
朝ドラヒロインとしての成功は、彼女に大きな栄誉をもたらしたと同時に、役者としてのその後のキャリアにおける大きな転換点となりました。