トライトンは工場で生産された製品ではない。ガレージで生まれた。
製作者たちは、まずノートンのフェザーベッドフレームを入手した。新品は高価だったため、多くは中古車から取り外した。次にトライアンフのエンジンを調達する。これも事故車や廃車から流用することが多かった。
最大の挑戦はエンジンマウントの加工だった。ノートンとトライアンフではエンジンの取り付け位置が異なる。溶接技術が必要だった。失敗すれば、フレームの構造強度が損なわれる。多くの若者が夜遅くまで、火花を散らしながら作業した。
外装も重要だった。目標はレーシングマシンのような外観だ。低いセパレートハンドル、後方に配置されたバックステップ、風の抵抗を減らす長細い燃料タンク、そして一人乗りのシングルシート。すべてが空力と軽量化のためだった。
必要な部品と工具
トライトン製作には専門的な知識と工具が求められた。溶接機は必須だった。旋盤やフライス盤があれば、カスタムパーツの製作が可能になった。しかし最も重要だったのは、情報とコミュニティだった。
カフェに集まる仲間たちと知識を共有した。誰かが成功した手法は、すぐに広まった。部品の入手先も口コミで伝わった。これは集合知の実践だった。インターネット以前の、アナログなオープンソースムーブメントだったのだ。